M&A・破綻・その他

財務分析で評価する三越伊勢丹HDのM&A




今回は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスを分析してみましょう。 ?三越伊勢丹ホールディングスは、2008年4月1日に株式会社伊勢丹と株式会社三越と経営統合して設立されました。昨年9月のリーマンショック以来の恐慌の中、2009年2月及び3月は、11年ぶりに前年比2桁減となり、業界売上の縮小は加速の一途を辿っています。

(2008年までは?伊勢丹の数値を分析)

三越伊勢丹HD分析

企業力総合評価は2009年3月期急落しました。下落原因は、営業効率(儲かるか)、資本効率(資本の利用度)、流動性(短期資金繰り)、安全性(長期資金繰り)の各指標が下落したことによります。

営業効率各下位指標をみてみましょう。

三越伊勢丹HD売上高利益率時系列データ

売上高総利益率は2007年から、悪化に転じたのに対し、売上高営業利益率が2008年まで連続して改善しています。デフレ下において、売上高総利益率の悪化を販売費・一般管理費を削減してカバーしてきたのでしょう。 2009年は、?三越との経営統合の影響をまるまる1年受けています。売上高は7858億円から1兆4266億円と1.8倍に増加しましたが、営業効率各指標は軒並み悪化となりました。 それでは、経営統合の相手方、?三越の経営統合までの過去5年間を分析してみましょう。

2008年までのデータを分析してみました。

三越分析

随分企業力が低調です。80~100ポイントに5年間きれいにハマっています。カルロス・ゴーン氏が招聘されるまでの日産自動車?(SPLENDID21NEWS第10号参照)のようです。営業効率も1から悪化トレンドでした。流動性も赤信号領域で、安全性を上げてバランスを取ってきました。こういうところは流石、1部上場企業です。優秀な財務担当者の存在が分ります。

それにしても、?三越を引き受けた?三越伊勢丹ホールディングスの企業力が引き下げられた原因の1つはこれになりますね。

株式会社高島屋を分析すれば、世界恐慌の影響がどれくらいかを取り出せるでしょう。

高島屋分析

まとめ 

とても悪い時期に、悪い会社と経営統合をした株式会社三越伊勢丹ホールディングスです。恐慌の影響のみを受けている?高島屋と比べれば、その衝撃は一目瞭然です。逆にいえば、株式会社三越と株式会社高島屋の総合評価の下落の和が株式会社三越伊勢丹ホールディングスの2009年の下落度合と一致しています。

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SPLENDID21NEWS第45号【2009年8月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news045 三越伊勢丹ホールディングス


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