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財務分析指標に表れる大企業病 資生堂 

今回は、株式会社資生堂を分析してみました。?資生堂と言えば、日本の化粧品のトップメーカーです。美容整形や、各種サプリメント、安価な化粧品など、美容関連商品・サービスがひしめき合う中、どのような経営状況なのか大変気になりました。

企業力総合評価は、141.04→123.40→137.79→135.22→125.71と推移しています。悪化成り行き倍率(瞬間風速での企業余命)は2010年4年、2013年7年と出ています。この5年間の企業力総合評価を見る限り、少し心配な状況と言えます。このような不安定な状況を引き起こす原因は、下位の指標で、悪化トレンドな指標(営業効率、資本効率、生産効率、安全性)や、赤信号領域の指標(生産効率)に原因があると考えれば良いでしょう。

営業効率(儲かるか)資本効率(資本の利用度)は、連続4期悪化しており、大いに問題がありそうです。売上高経常利益率が2009年7.54%から2013年4.19%へと3.35%も悪化しています。

生産効率(人の利用度)は、赤信号領域を悪化トレンドです。2009年690,256百万円、2013年677,727百万円の売上高で1.82%の減収にもかかわらず、従業員は40,084人から47,245人へと17.86%も増えています。生産効率は1人当たり売上高が大きな影響力を持つ指標です。中小企業では、この指標を全く見ないで経営されている会社は多いのですが、1部上場企業でこのような動きは珍しいです。

資産効率(資産の利用度)は、2010年3月、ベアエッセンシャル?の子会社化で、総資産(総資本)157,235百万円が増えたことが原因で悪化し、若干戻しました。

流動性(短期資金繰り)の2010年の悪化は、ベアエッセンシャル?の投資資金が一部、流動負債で賄われたことが原因です。その後、社債・長期借入金に振り替えられ、改善しました。

安全性(長期資金繰り)は2013年改善に転じたものの、悪化トレンドは、ベアエッセンシャル?子会社化で総資産(総資本)を急増させ、又、当期利益以上に配当をしてきたことなどから自己資本比率を悪化させたことが原因です。(円高加速による為替換算調整勘定悪化の影響もあります。)

資生堂?の変わり目は、2010年でした。売上高経常利益率が改善しているのに、営業効率の指標が悪化したのです(上グラフ)。これは、総資本(総資産)が急増した時に起こります。総資本606,566百万円の26%にあたる157,235百万円のベアエッセンシャル?の投資をしたのです。

セグメント別売上高・営業利益率を調べてみました。

国内化粧品売上高は、減少し続け、営業利益率が緩やかに悪化トレンドです。グローバル売上高(ベアエッセンシャル?を含む)は、増加していますが、営業利益率悪化は激しいものとなっており、2013年は赤字です。その他売上は良いのですが、売上ボリュームがありません。

国内の需要縮小、デフレの打開策のグローバル売上高ですが、日本国内の営業利益率より低いのでは、海外投資の意味が失われます。

投資の効率を売上で測る為、セグメント別売上高と資産額を調べてみました。国内売上は資産額より安定して大きな売上高を獲得していますが、グルローバル売上は、資産額を下回ります。投資には資本コストがかかりますので、グローバル売上は財務的に大きな負担の原因であることが分かります。

当期利益以上の配当は5年間で34,054百万円の純資産を減少させ、安全性の悪化原因です。

まとめ 

?資生堂は、ベアエッセンシャル?の投資が過大であったこと、資本コストを含むコスト高で、儲からなかったこと、配当政策は、経営状況を反映させなかったことなどが原因で企業力を悪化させました。多発的悪化原因をよそに売上高のみが1.82%の減収にとどまっています。売上高増加率

の指標を追いかけ過ぎたように見えます。

SPLENDID21NEWS第93号【2013年8月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

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