カルロス・ゴーン氏の置き土産が暴発する! 何のことか分かりますか?

日産自動車 長期成長曲線 企業力総合評価

日産自動車株式会社は、5月28日、事業構造改革計画と営業損益が404億円の赤字、当期純損益が6712億円の赤字、十分な手元流動性確保を発表しました。
しかし、日産自動車㈱の本当の危機は、「カルロス・ゴーン氏の置き土産の暴発」です。

日産自動車 長期経営状況 総覧

1994~2020年3月期までの連結財務諸表27年を診断してみました。2020年3月期は決算短信、それ以外は有価証券報告書データを利用しています。日産自動車 長期成長曲線 企業力総合評価

日産自動車 流動性

過去27年を振り返り、それを解説します。
1999年6月、日産自動車㈱にやってきたカルロス・ゴーン氏は80~100ポイントの低迷から一気にV字回復、2008年9月のリーマンショック時も見事にV字回復をさせました。コロナ禍では、2020年3月期の決算には2~3ヶ月程の影響にもかかわらず、営業効率の極度の落ち込みが見られます。

カルロス・ゴーン氏は確かに辣腕ではありましたが、そこに1つの弱点がありました。弱点と言っても、表面的には良く見える弱点ですから、財務諸表の数字を時系列で考察し、その数字が未来どのようなリスクを発現するか、そのトリガーとは何かまで読めないと気付けません。
日産自動車㈱の企業力総合評価(成長曲線)の右肩上がりに貢献したのは、営業効率と流動性です(紙面の関係でその他の親指標は非表示)。
流動性とは、短期に支払期限の到来する債務に対し、どれだけ支払い原資(流動性の高い資産)をもっているかを示す財務指標を統合して計算され、短期の資金繰りを評価する指標です。流動資産とは、現金預金、売上債権(売却済み未回収)、有価証券、棚卸資産(自動車や原材料など)、その他があります。
流動性が急激に右肩上がりになっているのは、流動資産が急増しているためです。
普通、支払い原資となる流動資産が増えれば、何が悪いの?と言うことになりますが・・・・

売上債権・売上高長期分析から見える危機 日産自動車

日産自動車㈱の売上高と売上債権(流動資産の一種)の時系列グラフを示します。

日産自動車・売上債権・売上高推移

1994年6兆円の売上高に対し1兆円の売上債権でした。月商が5,000億円ですから、2か月分の売上債権が未回収でした。これを売上債権回転期間2か月と言います。
その後の増収も見事ですが、売上債権が増え続け、2018年には、12兆円の売上高に対し、売上債権は8兆円、売上債権回転期間8ヵ月となったのです。
流動性の改善はこの売上債権の増大が大きく貢献しています。但し、これが順当に回収できれば良いのですが、コロナ禍が引き起こす恐慌により、貸倒リスクが一気に高まってしまいました。

トヨタにできて日産自動車にできていないこと

同じ、自動車産業でもトヨタ自動車㈱は、殆ど流動性は改善しません。改善しないというより改善させないのです。その理由の一つは上記リスクを知っているからです。売上債権回転期間は2006年以降最も高いときで1.29ヵ月、平均して1か月前後しかありません。
両社が恐慌の影響で同じ割合で顧客が倒産すれば、日産自動車㈱はトヨタ自動車㈱の8倍貸倒損失が発生します。2020年3月期の売上債権の内、3%貸し倒れても2,100億円貸倒れます。
売上債権は現金を回収するか、貸倒損失になるか2択しかありません。貸倒損失になるかどうかは外部要因で決まります。コロナ恐慌の底が見えない中なすすべがありません。

まとめ

カルロス・ゴーン氏は、日本を去る前「日産自動車㈱は2~3年以内に倒産するだろう。」と言ったそうです。その真意は分かりませんが、売上債権の暴発を言っているなら最初からその前に逃げるつもりだったことになります。そうでないなら、本当は数字に弱い経営者と言うことになります。
カルロス・ゴーン氏がどうであれ、会社が大事なら数字に強くなることです。

編集後記  姑さんはとても優しくよくできた人でした。良いことがあると「おばあちゃんが天国から手配してくれたんだ。」と思え、幸せな気分になります。見事な置き土産です。(^^♪       文責JY
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日産自動車コラムの解説会をします。2020年6月11日19:00~(終了)

ご希望があり、Zoom日産自動車解説会を再度開催を致します。6月11日と同じ内容です。

2回目日時:2020年6月25日19:00~

売上債権回転期間の問題は、「有事の財務戦略の存在」にもつながります。
トヨタ自動車にできて、日産自動車ができないのもここ。
27年に及ぶ企業力総合評価から親指標、財務指標更に、財務数値に一気にドリルダウンと、他指標・数値への遷移をしながら解説します。
トヨタ自動車の、有事の財務戦略も解説します。
財務諸表の中の証拠を示します。

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