増益・減益

売上高経常利益率の変動 東洋炭素  




今回は、東洋炭素株式会社を見てみましょう。東洋炭素?は、等方向性高密度黒鉛を製造・販売している会社です。等方向性高密度黒鉛は、六角形構造がきちんと並び、どの方向からでも物理的特質が変わらない(等方性)という性質があり、原子力分野から精度を極める放電加工分野や、技術革新が進む半導体分野で利用されています。

過去2001年から2010年までの10年間を見てみましょう。(2005年までは個別・以降連結F/Sを分析)

企業力総合評価は、2005年から2008年にかけて安定的に企業力を上げました、営業効率の改善が牽引していますので、安定成長期と言えます。2009年以降、企業力を下げました。

営業効率は2007年天井値を打ちました。成長し営業効率が天井値を打つと、会社は次の成長に向けて新たな手を打つ準備をしなければなりません。そうしなければ、営業効率が天井値を打ち続けることは難しくなります。リーマンショックがあったので、企業の努力は分かりにくい状況ですが、東洋炭素?は2009年、2010年は下落しています。ただし、2009年のリーマンショックによる下落は他社より緩やかであると言えます。

生産効率(人の利用度)は2009年赤青の真ん中にありますが、2010年更に悪化し、赤信号領域に来ました。

資産効率(資産の利用度)は10期すべて赤信号領域にあります。投資をよくする会社に見られます。投資して、収益が上がっているのですから、資産効率が赤信号領域でも、問題はありません。

流動性(短期資金繰)は2004年まで改善し続け、天井を打ちました。

安全性(長期資金繰)は順調に成長し天井を打ちました。

独自技術を持っている会社の強さを見せつけられます。

売上高、利益額を見てみましょう。随分大きな数字でとても立派な会社と感じます。

利益率はどうでしょうか。少し読みやすくなりました。

グラフにしてみましょう。もっとわかりやすいですね。

2004年までは、利益率が安定しません。2005年から2008年までは順調です。

2003年は当期利益が赤字です。よくあることですが、不採算事業を撤退するなど、次の成長に向けた準備をするために、特別損失を出して当期利益が赤字にすることがあります。赤字にも関わらず、営業効率は2003年は、改善しています。理由は、売上高経常利益率が戦略的指標(成長に重要な指標)であって、売上高当期利益率ではないということです。次の成長向けて特別損失を出すことは、短期的にはマイナス評価ですが、長期にはプラスであることで説明がつくのではないでしょうか。

まとめ 

東洋炭素株式会社は次の成長に向けて、準備をしている筈です。企業力の次の成長が楽しみな会社です。

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