増益・減益

日清食品ホールディングス リーマンショック下での財務分析指標




今回は、日清食品ホールディングス株式会社を分析してみましょう。日清食品ホールディングス?は世界に広がった即席めんを生んだことで有名な会社です。恐慌の今、廉価な即席めんを扱うのであれば、成長トレンドでしょうか、それとも????

日清食品分析

企業力総合評価は高いレベルを若干の下げトレンドで推移しています。

営業効率(儲かるか)は2007年から3期連続下落しています。売上高は増加トレンドですが、利益率は圧迫されているようです。生産効率、流動性(短期資金繰り状況)は青信号領域を若干の下げトレンド、安全性(長期資金繰り状況)はほぼ天井値を示しています。

直近3期の経常利益増加率は赤信号領域、減少しています。

営業効率の下位指標を見てみましょう。

日清食品売上高利益率時系列データ

売上高総利益率は、2009年5.12%一気に下落しています。その下落を補うかのように拡販費が7.19%絞られ、売上高営業利益率の下落は緩やかになりました。拡販費とは、小売店に一定量を一定価格で購入してもらう見返りとして支出するマージンで、UFOなどナショナルブランド(NB)の価格維持のために支出されます。

しかし、昨今、小売量販店が安価なプラーベートブレンド(PB)の即席めんを発売し、低価格競争に善戦し売上を伸ばしています。これに対抗して日清食品は、オープンプライス商品(OP)を開発し、それに対抗したためと考えられます。OP商品は拡販費も広告宣伝費もかけないため、ブランド力はありませんが、NB商品より、安く、PB商品に対抗できる訳です。

即席めんと言えば、廉価な食品というイメージですが、消費者は更に安さを求めているのでしょう。

OP商品を扱っていたことで、救われました。NB商品の維持にかなりの苦労をしているように感じます。

日清食品試験研究費率・拡販比率

各費用の対売上構成比を見てみましょう。

試験研究費は安定的に支出されていることが分ります。広告宣伝費が絞られてきています。

それにしても同じ製造技術で作られるのなら、広告宣伝費や拡販費に多くのコストをかけるNB商品のより、OPの方を選んでしまいます。

食品はこの点で衣料品などと大きく違うのかも知れません。シャネルのバックを満足げに持っている人は見ますが、UFOやカップヌードルを食べることを自慢する人はいません。

日清食品株価

話は変わりますが、最近、資産家の方から、推奨銘柄を聞かれます。

株安の現在、長期保有目的で株を買っておく良いタイミングと判断しておられるのでしょう。

日清食品ホールディングス?のような、安全性が高い会社は営業効率をベースに判断するのがよいでしょう。

過去5年間の推移ではタイムラグがあって、営業効率の後追い的な株価の推移を見ることが出来ます。

株価は業績のみによって決まるわけではありませんが、判断のベースにするには充分なデータと言えるでしょう。

まとめ

即席めんは不況期には良く売れ、業績が上がっているという単純な話でもありません。即席めんの中でも更に安いOP商品群にシフトし、全体的には若干悪化トレンドでした。費目別分析を見ると、テレビ業界(コマーシャル)やスーパー業界も気になってきます。

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